2013年

12月

30日

商品の環境価値を高めるカーボンオフセット

 1997年にイギリスで始まったカーボンオフセットが日本で盛り上がりを見せたのは、2008年でした。郵便事業株式会社は京都議定書第一約束期間に合わせて2008年から2012年までの5年間にカーボンオフセット付き年賀はがきを発売し、国内のカーボンオフセットの普及啓蒙に貢献しました。カーボンオフセットとは、自分自身では削減しきれない温室効果ガス排出量を他の場所で実現した排出削減・吸収量等をクレジットという形で購入することで、その排出量の全部あるいは一部を埋め合わせることです。カーボンオフセット付き年賀はがきは、1枚55円で販売され、消費者が支払った5円に郵便事業株式会社が5円を加えて10円分が海外での自然エネルギー発電による削減プロジェクトや国内の森林保全による吸収プロジェクトなどから生まれたクレジットの購入に当てられました。2009年から4年間でカーボンオフセット付き年賀はがきの助成金総額5億7,284万円で159,332トンのCO2削減量を購入したそうです。

 こうしたカーボンオフセット付き商品は、食料品、日用品、旅行、イベント、オフィス用品、自動車、プリンターなど様々な分野に広がりました。偽装を防ぐための認証制度も構築されました。報道発表された取組事例は2013年6月時点で1000件を超えていますが、まだまだ街中でカーボンオフセット商品を見かけるのは希です。これは、事業者の認知度が低いだけでなく、消費者の認知度・理解度が低いことが原因と思われます。

 2013年は、世界各地で干ばつ、大洪水、巨大台風、寒波など異常気象に見舞われました。日本でも猛暑、集中豪雨、竜巻、台風による被害は記憶に新しいと思います。世界の異常気象は連動して起こっています。地球温暖化が原因となって地球のエネルギーバランスが崩れ始めていると科学者たちは警鐘を鳴らしています。人類は今一度地球温暖化に対する危機感を醸成しなければなりません。

 カーボンオフセットは、消費者が身近に取り組める温暖化対策の一つです。事業者はその機会をもっと消費者に提供すべきではないでしょうか。カーボンオフセットは商品に大きな付加価値を付けることにほかなりません。消費者に受け入れられる、すなわち売れる商品にするためには地域性とストーリー性が重要です。地域性とは、オフセットに関わりのある地域から創出されたクレジットを選ぶことです。たとえば地元で生まれたクレジットや被災地で生まれたクレジット、原料調達先で生まれたクレジットなどを選ぶことです。ストーリー性とは、カーボンオフセットをすることで森林保全につながるとか、原料調達先の雇用促進や生活向上につながるなど、取り組みのストーリーを構築できるクレジットを選ぶことです。カーボンオフセット付き商品は地球温暖化対策や様々な社会貢献につながるだけでなく、商品の付加価値を高め、消費者に選ばれる商品になり得るのです。ぜひ多くの事業者に取り組んでいただきたいものです。

続きを読む 0 コメント

2013年

11月

04日

商業・サービス業でも環境ビジネスを

 環境ビジネスというと、製造業が取り組むものだと思っておられる方も多いのではないでしょうか。確かに環境に配慮した商品を開発・製造して販売するということが主流となりますので、製造業が取り組むものというイメージが強いのもうなずけます。しかし、環境に配慮したビジネスはどのような業種であっても取り組めます。

 今回は商業・サービス業の事例を以下の6つの切り口からご紹介します。

①環境ラベル

 環境に優しい商品であることを示す環境ラベルの付いた商品を仕入れて販売するという方法です。カーボンフットプリントやカーボンオフセットの認証マークに付いた商品に加えて、水産資源や海洋環境を守って獲った水産物を認証するMSC、森林環境を適切に保全し、地域の社会的な利益にかない、経済的にも持続可能な森林から生産された木工製品であることを認証するFSC、自然環境や人々の生活を良い状態に保つことを目指して生産・流通されたコーヒーを認証するサステナブルコーヒーなどがあります。

②エコ店舗

 店舗に様々な環境配慮をしているお店です。たとえば、光をレンズで集めて昼間は自然光で店内照明を行う、振動で発電する発電床を店内誘導灯に使う、日本では100%リサイクルされているダンボール製のディスプレボックスで商品を展示する、などが考えられます。

③エコ素材

 たとえば、美容室で自然由来の成分でできたヘアカラーやオーガニックコットンでできたフェイスタオルを使用している例があります。

④廃棄物の商品化

 ある喫茶店では、仕入れたコーヒーの梱包材として使われていた麻袋を使用してエコバッグを作って販売したり、コーヒーかすを製紙会社に販売し、再生紙として買い戻し小物入れなどの商品として販売しています。名刺に使っている例もあります。

⑤軽包装

 空き瓶を回収している酒屋さん、量り売りをしている食料品店などがあります。

⑥サービス化

 ガスファンヒーターのシーズンレンタルのように、商品を売るのではなく、商品の持つ価値だけをレンタルという形でサービス化して提供するという方法です。グリーン・サービサイジングと呼ばれています。お客様にとっても、物を所有しなくても必要な時に手元にあって価値を享受でき、不要な時に保管場所に困らず、毎回違ったものを持ってきてもらえる、ありがたいシステムです。

 

 エコは見せるが勝ちです。お客様はこうしたエコな取り組みを評価してくれます。扱っている商品だけでなく、店舗でも、売り方においてもエコをアピールすると売上アップにつながります。

 
続きを読む 0 コメント

2012年

8月

12日

環境価値を顧客価値につなげる

 「同じ値段なら環境に配慮したものを選ぶ」というお客様は多いです。しかしお値段が高くなると選んでくれるお客様は大きく減少するのが現実です。ではどうしたらいいのでしょう。ここで重要になるのが、「環境価値を顧客価値に変える」ということなのです。たとえば植物由来の素材を使った洗剤があります。これは食器を洗って河川に流しても河川の汚染につながらないという「環境価値」があります。同じ値段ならこれだけでお客様は選んでくれるでしょう。しかし、値段が高くなると敬遠されるかもしれません。この洗剤が手荒れを防ぐ、肌にやさしい洗剤だとすればどうでしょう。少々お値段が高くても選んでくれるお客様が増えるのではないでしょうか。「お肌にやさしいのは植物由来の成分で出来ているからなんです。」といえば環境価値が顧客価値に結びつくのです。環境にやさしいだけでは売れません。環境にやさしいことが、お客様にとってメリットのある価値につなげることが重要なのです。

続きを読む 0 コメント

e&i経営研究所

■メールアドレス

  takano_k@m3.kcn.ne.jp 
■代表者    

  高野 淨(たかの きよし)
■事業内容 

  経営相談    

  コンサルティング
  セミナー・研修・教育
  調査・研究

お気軽にご相談ください