短納期化は製造リードタイム短縮と適正在庫で

 製造業にとって在庫は「悪」だと言われることもあります。それは在庫を持つといろいろな弊害があるからです。たとえば、「在庫の陳腐化」です。腐食して商品価値がなくなるという物理的陳腐化もありますが、顧客ニーズが変わって売れなくなって在庫を廃棄せざるをえないという社会的陳腐化が怖いですよね。もう一つは「在庫は問題を覆い隠す」ということです。たとえば設備が故障したり、不良が発生するなどの生産工程に異常が発生しても在庫があると納期に間に合ってしまいます。生産異常が起こっても納期遅延て大騒ぎすることにはなりません。往々にして問題が先送りされてしまうのです。

 しかし、在庫にも重要な役割があります。一つは製造リードタイムと受注リードタイムの差を埋める働きです。受注先から要求される納期で製造できないなら在庫でカバーするしかありません。もう一つは変化への対応力です。生産ラインの生産能力はボトルネック工程の生産能力に依存しています。ボトルネック工程に"待ち"が生じてしまうと、製造リードタイムが長くなってしまいます。それを防ぐためにボトルネック工程の前にバッファーとして仕掛在庫を持つことがあります。

 したがって、在庫に頼らない本筋の製造リードタイム短縮をできるだけ進め、その上で在庫の弊害が短縮のメリットを上回らない範囲で適正な在庫を持つことで短納期化を進めていくことが重要です。つまり製造リードタイム短縮と在庫削減を同時に進めることが生産体制を強化することにつながるのです。

 

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