効率よく仕事をこなすには

 「仕事が効率よくこなせない」、「毎日忙しいけど、仕事が前に進んでいないように感じる」といった悩みを抱える人は多いと思います。その原因の多くがマルチタスクによるものと考えられます。新しい仕事が次々と入ってきた場合、皆さんはどのように仕事をさばいているのでしょうか? 今やっている仕事を中断して、新しい仕事をとりあえずやってみる。また新しい仕事が入ってくると、今やっている仕事を中断して、また新しい仕事に手をつける。そして中断した仕事にまた戻る。このようなことを繰り返していると、全ての仕事が中途半端になり、どれも納期に遅れてしまう、といったことがよく起こります。これは、実行する仕事(タスク)を切り替える度に、思考の段取りが発生し、余分に時間がかかってしまうからです。

 こうした状況を解消するには、以下のような点に注意する必要があります。

1.取りかかるタスクの優先順位を明確にする

2.タスクの負荷を平準化する

3.万全の準備をしてからタスクにとりかかる

4.一つ一つのタスクを集中して完了させる

5.滞留しているタスクを見える化する

6.問題を一個流しで解決する

7.日常業務の中でマルチタスクを解消する

 

 この7つの規律を組織にインストールして、組織が自律的に業務を遂行する「自律制御ネットワーク」を構築することが有効です。そのためのツールとして、「集中フローボード」と「助けてボード」があります。

 

 たとえば、チーム毎に「集中フローボード」を配置して運用するとします。タスクの優先順位を決める判断基準は会社全体で共通にします。チームに入ってきたタスクに優先順位を付け、チームリーダーは優先順位の高いタスクから担当者に割り当てます。担当者は準備が完了したものから着手しますが、1日に実行するタスクは最大2つまでとします。こうして、待ち状態のタスク、割り当て済のタスク、実行中のタスク、滞留しているタスク、完了したタスクを見える化します。これにより集中できる環境が生まれ、キャパオーバーになった場合、それを周りに自然に伝えることができます。

 

 問題が発生して滞留しているタスクについては、助けてほしいことをポストイットに書いて「助けてボード」の中の助けてほしい人(上司等)のところに貼り付けます。氏名のところに、上司の顔写真やイラストを入れておくと効果的です。こうして助けてほしいことが目立つところに貼ってあれば、放置されることもなくなります。「困ったことがあればすぐに貼る。ひとまずリーダーかプロジェクトマネージャーの欄に」という運用でよいと思います。貼られた人は、自分で解決できそうになければ、さらに上の人の欄に貼るという形でエスカレーションします。そのために、複数の部署にまたがった「助けてボード」(エスカレーションボード)を設けておくとよいでしょう。問題が解決すれば、「ありがとう」のポストイットを貼ると、上司に喜ばれます。こうすると、どのマネージャーが「ありがとう」をたくさん集めているかがわかります。問題解決の一個流しが実現し、進捗会議も不要になります。ミドルマネージャーの育成にもつながります。

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