プロジェクトの遅延を防ぐ方法

 新製品開発やITシステム導入プロジェクトなどを進める時、求められた品質を目指し、限られた予算の中で、予定された納期通りにプロジェクトを完遂するのは、なかなか大変です。様々なプロジェクトでQCD(品質、予算、納期)をすべて守ろうとすると、現場のメンバーに過重な負担を強いることになります。そのため、責任感のあるプロジェクトメンバーは、各人のタスクに安全余裕を含めて工期を見積もります。しかし、与えられた予算と時間はあるだけ使ってしまいます。プロジェクトに不確実性はつきものです。次々と発生する課題に的確な優先順位がつけられず、対処療法的な対応を続けていると、真に重要な課題が先送りされ、プロジェクト全体の遅れへとつながることもよくあります。このように不確実性の高いプロジェクトのマネジメントに関わる問題に対して有効な解決策を与えるのが、CCPM理論(クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント理論)です。

 CCPM理論は、TOC(制約条件の理論)の考え方を基に、プロジェクトの最適なマネジメントを実現するために考えられたものです。CCPM理論には以下の5つの考え方があります。

 

1.マルチタスクの排除

 個々の作業に集中し、タスク切り替えロスを削減するために、マルチタスクを排除します。

2.クリティカルチェーンによるマネジメント

 タスクの順序、必要な工期で策定したクリティカルパスではなく、リソースの制約まで考慮して待ち時間が最も短くなるクリティカルチェーンで、無理のない計画を策定します。

3.バッファ(安全余裕)の集約

 個々のタスクが抱えるバッファ(安全余裕)を取り出し、プロジェクト全体のバッファとして集約、管理します。バッファを多く消費しているタスクは、支援が必要なタスクとして認識し、優先的に支援します。

4.バッファ消費量によるプロジェクト管理

 プロジェクト全体の進捗状況を、最長チェーン達成率(クリティカルチェーンの完了率)とプロジェクトバッファの消費率で判断します。

5.準備がすべて揃ったタスクからスタート

 タスクに必要な万全の準備が整ってから次のタスクに着手します。

 

 個人が持っていた安全余裕をプロジェクト全体で共有すると、皆で助け合う気持ちが生まれます。これらの考え方を基に、毎日の進捗確認で課題と優先順位を共有し、必要な支援を必要なだけタイムリーに与え、最も重要な課題に対応することで、作業の効率化と工期の短縮につながります。

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